[最終更新日]: 2024/07/30
マルチブラケットってこんな矯正方法
マルチブラケットとは、ブラケットと呼ばれる装置とワイヤーを使用して行う歯列矯正のことです。歯列矯正を行う際は、歯1本1本に取り付けたブラケットにワイヤーを通し、時間をかけてワイヤーを少しずつ締めて歯の位置を移動していきます。一般的に矯正治療といえばマルチブラケットをイメージされる方が多いくらい、ポピュラーな矯正方法となっています。矯正治療の中でも精度が高く、歯科医院で提案される可能性が高い矯正治療だといえるでしょう。
改善が期待できる症状
マルチブラケットは、ほぼ全ての不正咬合の改善が期待できます。上の前歯が突出している状態である出っ歯や上顎前突、下の前歯が突出していて別名受け口とも呼ばれる反対咬合や下顎前突に対応可能です。また、歯の隙間があるすきっぱや空隙歯列、歯が乱列していて凹凸状態である乱ぐいや叢生にも効果が期待できるでしょう。
さらに、上歯が下歯に覆いかぶさって危険な過蓋咬合、前歯を閉じても隙間が生じて食生活に支障が出る開咬、歯の噛み合わせが所々逆になる交叉咬合といった難症例の治療にも利用できます。マルチブラケットは歯1本1本に装置を取り付けるため3次元的にアプロ―チしやすく、他の矯正治療よりも精密性が高いという特徴を持っているのです。
施術に適した年齢
マルチブラケットは、成人によく使われる矯正治療です。小児矯正では、10歳くらいから成人にかけての2期治療で、マルチブラケットが使用されるケースが多いでしょう。歯が生え揃う前でも軽い歯列の乱れは部分矯正での対応も検討しますが、全体的な歯列矯正が必要な場合は完全に歯が生え揃ってからマルチブラケットで矯正を行っていきます。
治療方法
マルチブラケットの治療では、まずブラケットを装着しやすくするために、歯の表面を研磨していきます。歯の表面を滑らかにした後は、ブラケットの接着時に接着剤の力が弱まらないように、歯の表面に防湿を施していきます。防湿をすることで、唾液がついても接着剤の力を維持することが可能です。歯の表面処理で接着剤が塗布しやすいようコンディションを良い状態に持っていった後は、接着材で歯の表面にブラケットを装着していきます。ブラケットにワイヤーを通したら装置の取り付けは完了で、後は経過をみてワイヤーの調整を行っていきます。
治療期間
マルチブラケットの治療期間は、歯並びの状態によって異なり、歯並びを軽く移動させる程度であれば1~2年ほどが目安となっています。上下の歯がかみ合わさっていないなど、歯並びを変えるのに時間を要するときは2~3年くらいかかると考えておくと良いでしょう。ただし、上記の期間はあくまでブラケットの装着期間であり、矯正後は元の歯並びに戻るのを防ぐために、リテーナーと呼ばれる保定装置を1~2年ほど取り付けなくてはいけません。完全に装置が不要となるまでは、3~5年くらいかかると心づもりで治療に臨むと良いでしょう。
費用目安
マルチブラケットの費用は、片あごで30~60万円、両あごで50~100万円が目安となっています。歯科矯正は一部のケースを除き自由診療なので、金額に大きな開きがあります。最初から装置代と治療中の診察代をコミコミ価格にしている歯科医院もあれば、装置代だけ先払いして毎回の診察代は都度払いという歯科医院もあります。治療を受けるときはコミコミ価格なのか、それとも診察代は都度払いなのか確認しておくと、支払い時に慌てずに済むでしょう。
リスク
マルチブラケットのリスクとしては、痛み・虫歯・歯根吸収・骨性癒着時の抜歯・後戻りが挙げられます。マルチブラケットはワイヤーの力を使って歯の位置を動かしていくので、装置をつけて直ぐは痛みを感じる可能性があります。また、装置をつけることにより歯が磨きにくくなるため、丁寧にブラッシングしないと虫歯になるリスクが高まります。さらに、マルチブラケットの矯正後は、歯茎の中にある歯根が吸収され短くなる可能性があるでしょう。さらに、歯科矯正をしても保定期間が短いと後戻りし、元の歯並び状態に戻ってしまうリスクが考えられます。
口コミ

歯並びが悪かった娘にこちらの医院に通っているのですが、子供の噛み癖があって装置が外れてしまった時に緊急だったのにも関わらず嫌な顔一つせずにしっかりと処置していただけました。受付の方も親切で優しいのも助かりますし、子供が多少痛がった際にも優しくケアしていただけるのがよかったです。
https://caloo.jp/reviews/search/all/t180

マルチブラケットを用いた矯正を行っていただき、長期間、何度も診療を受けましたが、その間も細かく調整をしていただきました。治療終了後も、定期検診で通っていますが、丁寧にみてくれますので、ここに通ってよかったと思っています。
https://haisha-yoyaku.jp/bun2sdental/detail/index/id/z000001723/tab/7/
マルチブラケットのメリット・デメリット
メリット
マルチブラケットのメリットは、難症例にも対応できるというところです。歯にボンドをつけて直接ワイヤーで引っ張るため、歯並びが乱列していても歯を少しずつ移動させられます。また、マルチブラケットはマウスピース矯正などと比べると長い歴史がある矯正法なので、技術力や知識を持っている歯科医院が多いというメリットがあります。万が一、転院することになっても他院で対応できるため、治療を継続しやすいといえるでしょう。
デメリット
マルチブラケットのデメリットは、固定式なので治療が終わるまで取り外しできないということが挙げられます。白や透明なブラケット、裏側への装着法が登場したことで従来と比べると装着しても目立ちませんが、口内の不快感や痛みがなくなるわけではないため、現状では二の足を踏む人も多くいます。また、精度の高い治療法かつ自由診療なので、一部の保険対象となる症例を除いては高額な治療費が必要となります。費用の負担が厳しい場合は、メディカルローンを検討する方も少なくありません。
マルチブラケットはどういう人におすすめ?
マルチブラケットは、精度の高い矯正治療を受けたいと考えている方におすすめです。よくマルチブラケットと比較されるのがマウスピース矯正ですが、マウスピース矯正では対応できない歯並びがあります。たとえば、マウスピース矯正では歯の中心がずれていたり、骨格に問題がある開咬だったりする場合は、マウスピースでは歯がそこまで動かない可能性が高いといえます。思ったよりもキレイにならないという事態も想定できるため、歯並びが乱列していて矯正が難しそうな症例ではマルチブラケットを検討してみることをおすすめします。