[最終更新日]: 2025/03/18
歯のケア法として、歯ブラシでのブラッシングに加えてフロスを使用している方も少なくありません。ブラッシングでは除去できない細かい歯垢を落とす手段としてフロスは有効です。
ただし、その使用方法がやや難しいこともあるため、フロスを「大人向けの道具」とイメージしている方がいるかもしれませんが、決して子供が使ってはいけないものではありません。まだ乳歯ばかりの子供でも、積極的にフロスを使うよう推奨されています。
いつから
子供にフロスを使うべき?
フロスは、歯と歯の間の隙間に使用する道具なので、歯と歯の隙間がなくなった頃が使い始めるタイミングになります。
子供の場合、乳歯が生えそろって隙間がなくなる年齢は2歳半から3歳ごろ。歯と歯の間に隙間がなくなったことを確認したら、さっそくフロスを使い始めましょう。
なお、子供が初めてフロスを使う際、無理にやらせないようにしましょう。恐怖心を抱くと、その後フロスを嫌がる原因になることがあります。
まずは親御さんが実際に使って見せるなどし、遊び感覚で楽しく取り入れる工夫をしてみてください。
子供にフロスを使うメリット
子供にフロスを使うメリットは、大人と同様、虫歯や歯周病、口臭の予防などにつながります。
虫歯予防
子供のころからフロスを使うことで、乳歯の虫歯を予防する効果が期待できます。
乳歯が成長して歯と歯の間に隙間がなくなると、それまで行っていた歯ブラシによるブラッシングだけでは、十分に歯垢を落とせません。同じ場所に歯垢が溜まり続けると、やがて菌が繁殖して虫歯になってしまいます。
フロスは、この歯と歯の間に溜まった歯垢を効果的に除去する道具。フロスと歯ブラシと併用すれば、歯垢の約9割を除去できるともいわれています。高い虫歯予防効果が期待できるでしょう。
歯周病予防
虫歯と同時に、歯周病予防の効果も期待できます。
歯周病の主な原因は歯垢の蓄積。歯と歯の間や、歯と歯茎の間に溜まった歯垢から排出される毒素により、少しずつ歯周病が進行します。
フロスを使用して歯垢を除去すれば、歯周病のリスクが大きく低下するでしょう。
口臭予防
口臭の原因にはいくつかありますが、主な原因のひとつが、歯垢によって繁殖する細菌です。
フロスを使用して歯垢をしっかりと除去すれば、細菌の繁殖を大きく抑えることが可能。細菌を原因とする口臭が抑えられます。
子供には
どんなフロスを選べばいいの?
フロスには、ロールタイプやY字タイプ、F字タイプなどの複数の種類があります。基本的にどのフロスを選んでも構いませんが、初めてフロスを使う子供に対しては、できる限り抵抗なく使えるタイプをおすすめします。
子供におすすめのタイプのフロスを2種類ご紹介します。
ホルダー型子供用フロス
あらかじめ糸がセッティングされているホルダー型の子供向けフロスです。子供でも簡単に使えるよう、握りやすい形状となっています。子供の小さな口にも入りやすい小型設計なので、初めてフロスを使うお子様でも抵抗なくケアできるのではないでしょうか。
F字型やY字型など、いくつかの種類がありますが、子供にはT字型のほうが使いやすいかもしれません。最初は両方を試し、お子様が使いやすい方を選んで定番にするのもよいでしょう。
お子様に合ったタイプのフロスについて、かかりつけの歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。
フレーバー付きフロス
形状は一般的なT字型などのフロスですが、子供が楽しみながらケアできるよう、果物のフレーバーがついたフロスが販売されています。イチゴやメロン、ブドウ、オレンジなど、多くの子供が好むフレーバー付きのフロスです。
一般的なフロスに遊び心を加えることで、フロスケアの習慣づけにつながるかもしれません。お子様のケアを楽しくするアイテムとして、ぜひ活用を検討してみてください。
子供にフロスを使う際の注意点
歯垢を除去し、虫歯や歯周病、口臭などの予防につながるフロスですが、使用方法を誤ると、かえって歯や歯茎などに悪影響を及ぼす恐れもあるのでご注意ください。
主な注意点を見てみましょう。
無理にフロスを入れない
歯と歯の間になかなか糸が入らないという理由で、無理に「グイっ」と押し込んでしまわないよう注意してください。糸は入るかもしれませんが、押し込んだ力が余って歯茎を傷つけてしまう恐れがあるためです。
糸がなかなか通らない場合には、前後左右に小刻みに揺らしながら少しずつ押し込んでいくことがポイント。コツを掴めば簡単なので、お子様が上手にできるようになるまで、やさしく見守りましょう。
同じフロスを繰り返し使わない
1回ごとにフロスを廃棄する必要はありませんが、糸が切れるまで何度も使いまわすことは、衛生的な理由からおすすめしません。
フロスは、糸に歯垢や雑菌を絡めて除去する道具です。そのため、何度も同じフロスを使っていると、糸に虫歯や歯周病の原因となる雑菌が溜まってしまいます。そのフロスを繰り返し使い続けた場合、炎症等のトラブルにつながる恐れがあるので、適度な回数を使用したら新しいものに取り替えるようにしましょう。
使用後、しっかりと水洗いをしたとしても、2~3回程度を目安に新しいフロスと交換します。
力を入れすぎない
フロスの糸が歯間に通った後は、決して力を入れすぎず、やさしく小刻みに動かす要領でケアすることが大事。糸を乱暴に動かして歯茎から出血させないよう見守りましょう。
保護者がサポート
子供が上手にフロスを扱えるようになるまでは、少し時間がかかります。なれるまでの間は、親御さんが横についてしっかりとサポートすることも大切です。
なお、フロスを使い慣れた大人は鏡を見なくても適切にケアできますが、子供の場合は、鏡を見ながらケアすることが基本です。自分の手元の動きを見せることで、少しずつ適切なケアができるよう導きましょう。
引っかかったら無理やり取らない
歯間に入ったフロスがひっかかり、なかなか抜けなくなった場合、無理な力で抜かないようにしましょう。無理に抜こうとすることで、歯や歯茎を傷つけてしまうことがあります。
小刻みに揺らしながらゆっくりと上へ引き上げることで糸は抜けますが、もし抜けない場合には、歯に沿って横に押し当てるように引っ張ると抜けることがあります。
難しい場合には、そのままの状態で歯科医院を受診しましょう。
なお、フロスが抜けなくなる原因の1つとして、糸が虫歯に引っ掛かっていることもあります。何度も同じ歯間で抜けなくなる場合には、歯科医院で虫歯の有無をチェックしてもらうようおすすめします。
おすすめの使用頻度と時間帯
フロスの理想的な使用頻度は「毎日」です。毎日のケアが難しい場合でも、1週間に最低でも2回程度はケアを行うようにしましょう。
ケアを行う時間帯は就寝前がおすすめ。睡眠中は唾液の分泌量が減少するため、口腔内は細菌が繁殖しやすい状態。就寝前の歯磨きとあわせてフロスも行えば、細菌の絶対量が減って虫歯・歯周病を効果的に予防できるでしょう。
フロスが習慣化するまで
焦らずサポートを続けましょう
フロスは大人向けの道具というイメージもありますが、実際には子供にも積極的に使わせたいケア用品。虫歯予防、歯周病予防、口臭予防などの様々な効果が期待できるとともに、将来に向けたデンタルケアへの意識も高まるため、ぜひ乳歯ばかりの子供のうちからフロスの使用を習慣化させたいものです。
ただし、フロスを嫌がる子供もいるため、無理に使用する必要はありません。嫌がる中で強制的にフロスを使わせた場合、フロスに対する拒絶反応が定着してしまう恐れがあるからです。
子供が自分でフロスを習慣化できるようになるまで、親御さんは焦らずゆっくりとサポートしましょう。
フロスによる出血やトラブルが心配な場合は、小児歯科に相談することをおすすめします。
なお、以下のページでは、歯磨きを嫌がる子供への対処法をまとめています。あわせて参考にしてみてください。