[最終更新日]: 2024/07/30
RAMPA(ランパ)セラピーって
こんな矯正方法
呼吸をしやすくすることで、お子さんの
健やかな健康につながる治療
RAMPA(ランパ)セラピーは、歯並びを正常にするために「顎骨の成長を正しい方向に促す」治療方法のことです。RAMPA専用のヘッドギアを使用して小児期の骨格から治療するものであり、成人は対象外となります。
これまでの矯正治療とは考え方もアプローチも別物。骨格に対してアプローチすることで、歯並びだけでなく、呼吸や睡眠の改善も促します。治療方法が難しく、世界でもRAMPA(ランパ)セラピーを行える歯科医院はわずかです。
ここでは、“睡眠と呼吸を考える小児歯科専門医院”というコンセプトのもと、RAMPA(ランパ)セラピーを積極的に取り入れている、横浜ゆうみらい小児歯科・矯正歯科の有田浩一朗院長(日本小児歯科学会専門医指導医、歯学博士、医療法人社団ゆうみらい歯会理事、JACG理事)に、監修・解説してもらいながら紹介していきます。
体の重心軸を考慮した全く新しい概念『gHumanoticsユーマノティクス』 (gravity + Human + biomechanicsの造語)をもとに、より生理的な顔面の発育成長を促す治療。RAMPAセミナーを主催している歯科医師、三谷寧(みたにやすし)により1990年代から開発された頭蓋顎顔面咽頭領域の治療法です。三谷寧先生は、Sogang大学Humantropics research centerで兼任教授の傍ら、RAMPA研究の第一人者であり臨床家でもあります。
参照元:RAMPA研究会:https://j-rampa.com/greeting/横浜ゆうみらい小児歯科・矯正歯科
横浜ゆうみらい小児歯科・矯正歯科の院長(および有田歯科医院の副院長)を務める有田浩一朗先生。小児の口腔の発育および歯並びが専門で、小児矯正のキャリアは20年以上。日本で238名しかいない日本小児歯科学会専門医指導医です(※)。
大学の小児歯科で学位(小児歯科学専攻)取得後、都内の舌側インプラント矯正専門医院に勤務。その後、画期的な治療法で世界から注目を浴びる、近藤悦子先生の“筋と呼吸を考える矯正”(MUSLCE WINS!法)に感銘を受け、単に歯列だけを治療するのではなく、成長が終了する前に生じる歯並びや顎の発育、生理的な機能が障害される原因を根本から改善することを重視した治療を実施するようになりました。常に睡眠や呼吸様式をはじめ、お子さんの健康全般を考えた診療を心がけています。
RAMPA(ランパ)セラピーを
詳しく紹介
RAMPA(ランパ)セラピーは、上顎骨を含めた中顔面を中心とした、顎や顔面の矯正・口腔育成治療。これまでの歯列中心の矯正とはその治療結果が異なり、歯並びが悪くなる根本的な原因である、中顔面の骨格などにアプローチできるのが特徴です。特に受け口の患者様には、通常の矯正治療の効果ではアプローチが難しい、中顔面の審美的な変化が認められる事が報告されています。
RAMPA(ランパ)セラピーでは、口腔外装置と口腔内装置を使用して、下方へ発育した中顔面領域を上前方へと引き上げ、上顎骨の形態を3次元的に拡大することで、骨格のゆがみを解消。これにより、中顔面領域の発達不良に伴う顎骨の発達不良、歯が並ぶスペースが足りないことによる歯並びの悪化、口周りの筋力低下による不正咬合、口呼吸など、さまざまなお口の問題にアプローチできます。
中顔面領域とは?
中顔面領域とは、顔の中心(目の下から鼻周辺、前歯の先あたりまでの領域)です。中顔面領域は成長につれて前方に発達し、鼻は高くなり、顎や口元は小さくスッキリとした印象になるのが一般的。
しかし、発達不良で中顔面領域が下がると、鼻尖は低くなり、顎はゆがんでしまうため、口周りの筋肉が正常に機能しません。その影響で顎骨の発達不良や不正咬合が起こり、歯並びが悪くなってしまいます。
さらに、舌や気道のスペースも圧迫され、口呼吸を促してしまうので注意が必要です。
一般的な小児矯正(床矯正)との違い
単に歯並びを整えるのではなく、
根本原因に着目し呼吸改善に導く
一般的な小児矯正は、あくまで歯並びをきれいにすることが目標。矯正装置を使って顎を広げて、永久歯が生えるスペースを確保する治療方法です。アプローチするのは“歯”であり、顎の骨や舌の位置・形態を大きく変えることはありません。そのため、成長過程で多少歯並びが元に戻ってしまうこともあります。
一方で、RAMPA(ランパ)セラピーは気道の確保と顔面骨格の成長を正常に導くことを目標としています。結果的に、歯が本来あるべき位置に生えるようになる、という考えです。つまり、歯並びよりも機能面の改善を重視して、お子さんを健康へ導くことに目を向けた治療方法なのです。
単純に外傷などで歯が抜けてしまったといった理由で、歯並びが悪くなっているだけなら一般的な矯正で対応できますが、中顔面領域の発達不良や骨格のゆがみにより、歯並びが悪くなっている場合はRAMPA(ランパ)セラピーで根本の原因を改善する必要があります。
よく、大学病院などで使用される従来のヘッドギアと比較されることが多いのですが、RAMPA(ランパ)セラピーは、"治療の範囲"と"その作用方向"が一般の矯正装置とは明らかに異なっております。専用のヘッドギアにより骨格を積極的に治療することで、歯列のみをターゲットとする小児矯正では達成できない顔貌の変化、呼吸などの生理機能にも影響を及ぼします。
顔の中心となる目元から唇までの中顔面の前方成長を促して、顔のゆがみを解消。上顎が前上方向に押し上げられることで舌の位置が正常化し、気道が広がり本来の呼吸に導きます。きちんと使用時間を守ってRAMPA(ランパ)を使用すると、明らかだった“受け口顔”が数か月で審美的に改善するといった症例もあります。(2022年小児歯科学会発表)
口腔内装置は、確かに床矯正に似ている装置もありますが、RAMPA(ランパ)セラピーで使用する装置は舌の位置を妨げず、骨格の成長を促すような工夫がされており、実際はまったく異なるといっても過言ではないのです。歯を動かして並ぶスペースを作るというよりは、"骨を形態修正したら歯が並んでしまう"といったイメージです。
つまり、目的は"舌の適正位"を促し、顔の成長を適正な方向へ促すということであり、歯並び改善は、それによりもたらされる"結果"なのです。
改善が期待できる症状
「呼吸や姿勢などの機能面」+
「表情や歯並びなどの審美面」にアプローチ
RAMPA(ランパ)セラピーで改善が期待できるのは、骨格のゆがみを原因とするさまざまな症状です。
中顔面領域を上前方へと引き上げる治療なので、鼻・顎といった顔全体の見た目にも変化が現れます。舌骨位の変化は表情筋にも影響するため、表情の変化もみられ、目の大きさが変わって見える事も。
また、舌位の低下による気道の圧迫や口呼吸、それに伴ういびきや口呼吸、呼吸を楽にするための猫背の改善も期待できるでしょう。
RAMPA(ランパ)セラピーによって気道が確保されると、呼吸がしやすくなるので睡眠の質がアップすると考えております。お子さんにとって睡眠はとても大切。十分な睡眠がとれないと、睡眠中の成長ホルモン分泌が促されず成長を妨げる上、日中の学習にも影響すると米国睡眠学会でも報告があります。
以下のような症状があるお子さんは一度相談に来ていただきたいです。10年間改善しなかった人がRAMPA(ランパ)セラピーにより1年で改善した症例もあります。
- 常に口呼吸をしている
- 何年も耳鼻科に行っても鼻づまり症状が変わらない
- 鼻詰まりがひどく、口呼吸
- 慢性的にいびきをかいている
- うつ伏せでないと眠れない
- 日中多動傾向がある
- 受け口(下の歯の方が上の歯より前で咬んでいる)
- ガミースマイル(笑うと歯茎が目立つ)
鼻呼吸になることで、効率的に酸素を取り入れて集中力が上がることもあります。
治療方法
歯型やレントゲン、CTによる気道検査、口腔内や顔貌写真、場合によっては3Dの顔貌写真を見ながら問診・精密検査を行い、詳細な分析の後、事前に治療計画を立てます。
治療に使用する装置、治療期間などを説明後、ご家族の同意を得てRAMPA(ランパ)セラピーを開始。
口腔外装置と口腔内装置を連結したヘッドギアのような装置を1日12時間以上装着します。口腔内の状況や年齢などの状況にもよりますが、約3か月装着することが基本。その後は口腔内装置(顎骨を拡大していく見えにくい矯正装置)を使用して、成長をサポートします。
受け口などでは、ヘッドギアのような装置を約3か月装着(1日12時間以上)→口腔内装置を使用→再度ヘッドギアのような装置を約3か月装着(1日12時間以上)、といったように繰り返すこともあります。
ヘッドギア装着中は、月1~2回程度の頻度で通院し、経過観察・装置の調整を行います。
一般的な小児矯正治療のようにI期矯正・II期矯正に分けて行うのではなく、1回の矯正治療(第二臼歯に生え変わるまで)で完了するのが特徴です。お子さんの身長の伸びが完了する時期まで、経過を行うので、歯並びだけをゴールとする歯列矯正よりは期間は長いと言えます。ただし、歯が生えるのを待つ期間もあり、その間は3か月~半年に1回の診察になることが多いです。
RAMPA(ランパ)セラピーでは適応年齢では、基本的に学校では装着の必要がありません。学校から帰ってきてから寝る時間も含めて装着してもらいます。
決して楽に治療できる方法ではありませんが、RAMPA(ランパ)セラピーを開始すると、お子さん自身も自分の身体の変化に気づくようです。そのため当医院では、進んで治療を受けてくださるお子さんも多くいらっしゃいます。
しかし、治療を行うには親御さんのサポートが欠かせません。お子さん主体の治療ではなく、むしろ親御さん主体の治療だと考えています。ぜひ、親御さんからお子さんに治療の重要性を伝えて、お子さんが治療の意味を理解したうえで始められるようにしてあげてください。
施術に適した年齢
RAMPA(ランパ)セラピーが適しているのは、骨格の成長が著しい4歳~8歳までとされています。9歳以上でも施術を受けることは可能ですが、症状に応じてRAMPA(ランパ)セラピーが適切か、ほかの治療を選択すべきか変わってくるため、直接医師に相談すると良いでしょう。
RAMPA(ランパ)セラピーをするなら、基本的には「早ければ早いほど良い」と言えます。それは、何年も治療を待っている間に顔の成長が思わしくない方向へ進むリスクがあり、また、その間に十分に質の高い睡眠がとれないことで、成長を妨げることもあるからです。
ご存知のように大人の1年と、お子さんの1年では成長速度が全く異なるのです。だからこそ、可能であれば早いうちに治療をすることがおすすめです。
しかし、3歳や4歳だとまだコミュニケーションをとることが難しいことも多いです。お子さんが治療の意味を理解していなければ継続することは困難。そのため、ある程度必要性を理解できる6歳くらいからがおすすめです。
歯並びは大人になっても治せますが、睡眠を含めた呼吸の問題は生活習慣に悪い影響を及ぼしたり、本来の成長を妨げる可能性もはらんでいます。気になる方は、ぜひお早めに医師に相談してみてください。
治療期間
骨格が完成している成人の歯列矯正の治療期間とは考え方が異なります。未成熟のお子さんの骨格に対して治療するため、成長期のきめ細やかな観察は必須です。骨格が未完成の状態からの治療となりますので、歯が生えそろう頃にはきれいな骨格で並べることが可能です。
第二大臼歯に生え変わるまでが目安とされており、子どもの年齢や症状、使用する装置によって治療期間は変動します。
当医院の場合ですが、通常の小児矯正とは違い、RAMPA(ランパ)セラピーは「骨の治療」と「歯の治療」で分かれます。骨を治すのに2年から2年半、歯が整うのを待ったり動かしたりするのに1年から1年半かかる傾向があり、トータルで3年~3年半程度で終えるのが一般的と言えるでしょう。(あくまで当医院の場合ですので各クリニックの担当の先生にきいてみてください。歯列の治療は行わないで、RAMPAしか行わないクリニックもございます。)
ただし、年齢によっては矯正治療を開始してからいったんお休みする期間が出てくることもあります。例えば3歳で受け口のお子さんなら、3か月程度準備矯正を行ってから一度装置を外し、小学生くらいから治療を再開します。また、6歳くらいから始めたお子さんは一度期間をおいて10歳くらいから再スタートするなど、症状や状況に合わせて異なります。
第二大臼歯は12歳臼歯ともいわれていますが、16歳ごろまで生えてこないお子さんもいますので、12歳に生えてこなくても心配せず担当の先生に聞いてみましょう。
費用目安
RAMPA(ランパ)セラピーは、子どもの年齢や症状によって治療期間が異なるため、治療にかかる費用も症状・クリニックによってさまざまです。
編集チームが調査したところ、最低価格は70万円(税不明)、最高価格は143万円(税込)という結果になりました(2022年6月13日時点)。
RAMPA(ランパ)セラピーに限らず、矯正治療では使用する装置の技工料金によって、治療にかかる費用も高くなる可能性があります。クリニックによって治療費が異なることも多いため、診察時に治療費に関しては必ず確認するようにしましょう。
装置が変わるたび費用が変わりますか?とのご質問をよくいただきます。当医院では、矯正の基本料金は症状を治す事に対しての費用で、装置の費用ではないと考えており、事前に提示した費用に追加はしないようにしています。(もちろん治療の契約が終了した場合や自分で紛失したなどは別です。)つまり、装置代も含まれており、装置が変わるごとに費用が発生する心配はありません。
ただし、この考え方はクリニックによりことなりますので、必ず各歯科医院にお問い合わせください。
リスク
RAMPA(ランパ)セラピーの装置は1人で装着するのが難しいため、装着時間を守れず、治療期間が延長するケースがあります。ヘッドギアのような見た目の大掛かりな装置のため、お子さんが抵抗感を覚えて装着を嫌がるケースもあるでしょう。そのため、親御さんがお子さんとしっかりコミュニケーションをとり、開始前に治療をする意味を理解してもらうことが重要です。
きちんと使用時間を守ってRAMPAを使用すると、明らかだった“受け口顔”が数か月で審美的に改善するといった症例もあります。(2022年小児歯科学会発表)
最大限の効果を発揮するためには、装置の適正な使用と観察、総合的な診断が必要です。
中顔面領域を前上方へと引き上げる治療なので、他の矯正治療と同様に、装置装着中は頭や頬、歯に力がかかり、痛みが生じる場合があります。
RAMPA(ランパ)セラピーの
おすすめポイント
呼吸がしやすくなることで、お子さんの
健やかな発育をサポートしてくれる
RAMPA(ランパ)セラピーのおすすめポイントは、骨格のゆがみに伴うさまざまな症状の改善が期待できるところ。歯並びだけではなく、鼻や顎の見た目、呼吸のしやすさ、いびきや姿勢など、さまざまな問題を子どものうちに解消してあげたいと考えている親御さんは必見です。
ただし、いくら画期的な治療でも継続できなければ意味がありません。特にRAMPA(ランパ)セラピーは装置が複雑で大型となるため、子ども一人で装着・継続するのは難しく、場合によっては嫌がることもあるでしょう。
治療を成功させるために、まずは本人のやる気を確認したうえで、治療完了まで家族で全面サポートすることをおすすめいたします。
一般的な歯列矯正で歯並びだけを治療する歯科医院は多くありますが、私たちは、歯並びだけをきれいにするだけでなく、お口の状態からお子さんの健やかな発育をサポートしています。
お子さんの健康にとって重要なことは正しい呼吸と質の高い睡眠だと考えます。正しい呼吸ができなければ、集中力を失うことがありますし、質の高い睡眠が取れなければ、寝ている間に分泌されるはずの成長ホルモンがうまく機能しません。
だからこそ私は、単純に歯並びをきれいにするのではなく、お子さんの呼吸と睡眠を正常化させるために、歯科に限らない全身を考えた治療を行っています。
RAMPA(ランパ)セラピーは、小児矯正を専門でやっている私たちでも難しい治療法だと考えております。それでも独自で勉強し、この治療方法を選んでいるのはこの治療がもたらす成果ゆえです。大学時代から小児歯科学を専攻し、小児矯正を専門に治療を行ってきましたが、骨格に起因し、呼吸などの機能に問題がある、一般的には治療が難しいと考えられている症例(受け口、開咬)は、お子さんの健康を考えるとRAMPA(ランパ)セラピーがベストな治療方法だと考えています。
お子さんにとって1年はとても大きいもの。健やかに成長してもらえるように、気になることがあれば早めにご相談していただければと思います。
有田先生が在籍している歯科医院
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所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区栄町17-2ポートサイドサクラビル3F |
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診療時間 | 10:30~13:00/14:00~19:00 ※月曜は10:30~13:00/14:00~18:00、土曜は9:30~13:00/14:00~17:00、日曜は10:00~12:30/13:30~15:30(月2回) |
休診日 | 木曜、祝日 |
TEL | 045-620-7575 |
URL | http://yuumirai.com/ | 費用 | ■カウンセリング 0円(2回目以降・土日は11,000円) ■準備矯正 230,000円~ ■通常矯正 615,000円~ ■バイオブロック 1,110,000円~ ■RAMPA 1,330,000円~ ■ラビアル 780,000円~ ■ハーフリンガル 1,000,000円~ ■リンガル 1,330,000円~ ■インビザライン 780,000円~ ■調整料金 6,600円 ■チェック料金 2,200円 ■保定観察(レントゲン) 5,500円 ※すべて税込。規定難易度により費用が変動します。詳しくはクリニックへお問合せください。 |
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