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[最終更新日]: 2024/02/07

急速拡大装置ってこんな矯正方法

急速拡大装置は、上顎(上あご)の骨格と歯列を横に広げるための固定式拡大装置です。骨格幅の矯正的な拡大により永久歯の生えるスペースを確保し、上顎・下顎の健全な成長と歯並び・噛み合わせなど、種々の症状の改善を促します。施術に適した年齢は思春期を迎える13歳くらいまでの子供です。固定式で強い力を顎骨に加えて矯正する急速拡大装置は、治療期間が短くて済み、鼻づまり、喘息、いびきの改善など、副次効果を期待できるのがメリットです。

それでは、急速拡大装置について詳しい特徴を紹介しましょう。

目 次

改善が期待できる症状

急速拡大装置を使用することにより、上下の顎の骨を広げられます。このことにより得られるメリットは多彩です。永久歯が正しく生えそろうスペースを確保できるほか、成長期の子どもに見られる噛み合わせの悪さを改善し、上下の顎の側方への成長を促せるのが特徴です。

副次的なメリットとしては、鼻づまりや活舌の悪さ、ぜんそく、いびきの軽減などがあります。こうした症状は矯正歯科とは直接的な関係はありませんが、急速拡大装置を使用して上下の顎の正常な成長を促すことにより、改善が期待できる症状です。

上顎が広がると鼻腔と気道が広がり、下顎が正常に発達すれば下の動きも滑らかになり、咀嚼もしやすくなるなど、連鎖的な効果が期待できるのです。

施術に適した年齢

急速拡大装置に適した年齢は、永久歯が完全に生えそろい上下の顎の成長が終わる“思春期”くらいまでといわれています。骨の成長には個人差がありますが、大体13歳くらいまでが急速拡大装置の施術に適した年齢です。一般的には16歳頃から治療が難しくなると言われており、永久歯が生えそろう思春期以降18歳くらいまでは効果が期待できますが、さまざまな条件が必要になります。

急速拡大装置は子供の骨(上顎)の成長に合わせて行う矯正治療ですが、子どもの上顎の骨の成長は、10歳前後がピークです。10歳~12歳で骨の大きさが確定されるといわれています。

治療方法

急速拡大装置は、上顎(上あご)の骨格を横に広げるための固定式の拡大装置です。骨格幅を拡大させることにより永久歯の生えるスペースを確保し、上顎・下顎の側方への成長を促します。

上顎は真ん中のつなぎ目(正中口蓋縫合)から左右2つに分かれており、子供の場合はこのつなぎ目が不安定でしっかりしていません。急速拡大装置はこの構造を利用して行う矯正治療です。方法は、急速拡大装置を上顎に装着し、装置の真ん中にあるネジを回しながら継続的につなぎ目に圧をかけ、骨格の幅を広げていきます。

1~3ヶ月ほど矯正を行い、矯正期間終了後も装置の幅を固定したままさらに数か月間装着を続けます。装置は固定式のため自分で取り外すことはできませんが、その分しっかり固定されて集中的・効率的に治療が可能です。 つなぎ目の拡大ネジは製品により異なりますが、1回転(360°)することで0.2mm~0.8mmなどの幅で拡大されますが、実際の調整では、1日に2回程度、4分の1回転、2分の1回転など、決まった角度で回転させていきます。 ただし、1日にネジを回す回数や拡大する幅、期間などは患者さんの症状により異なるため、1日の回転数が2~4回転、また拡大幅も0.2~0.8mmとなる場合があるようですので、治療方針については必ず担当の歯科医師に確認してください。

治療期間

急速拡大装置の治療期間は、全体で1~3年程度です。装置による矯正期間は1ヶ月~3ヶ月程度ですが、短期間で急速に左右の顎のつなぎ目を広げるため、広げた部分の骨がしっかり出来るまで少なくとも約6ヶ月の間は装着をつけたまま生活します。

治療期間中は、骨の拡大状況、歯の成長と生え変わりの経過を観察するため1~2ヶ月に1回程度の来院が必要です。治療が進むにつれて来院間隔も開いていきます。

費用目安

急速拡大装置は健康保険が適用されない「自由診療」です。よって、治療にかかる費用は各歯科医院によってプランや料金体系が異なります。

費用は、初診・カウンセリングの費用、診断のために必要な精密検査費用、拡大装置による治療費があります。

矯正歯科治療前の費用は、初診・カウンセリング料で無料~5,000円程度、検査費用に無料~5万円程度。そして拡大装置による治療費は10万円~40万円程度です。

リスク

急速拡大装置は自分では取り外しできない固定式の矯正装置です。従って、十分に歯磨きができていない場合は虫歯になりやすいリスクがあります。また、矯正治療により鼻腔が広がり鼻づまりの改善を期待できる一方、必要以上に鼻が横に広がるリスクにも注意。

急速拡大装置は上顎歯列の拡大を企図しますが、上顎歯列単体でどこまでも拡大出来るのではなく、上下歯列の横幅を調和させる必要があるので、上顎歯列の拡大量は下顎歯列の拡大に制限されます。

加えて、矯正治療を開始した直後は装置への違和感が強く、食事や滑舌(発音)に影響が出る可能性もあります。違和感は1週間程度でなくなります。

口コミ

急速拡大装置による矯正治療の口コミは見つけられませんでした。

急速拡大装置のメリット・デメリット

メリット

急速拡大装置は固定式の拡大装置ですから、取り外しができない分、集中的に治療に取り組むことができ、早く確実に上顎を大きくできます。治療期間が短いため体への負担やストレスも最小限に抑えられます。また固定式であるため、子どもが勝手に装置を取り出す心配もなく、治療がプラン通りに進みやすいのもメリットです。

その他、上顎の拡大による鼻腔や気道の広がり、それに伴う鼻づまりや喘息、咀嚼の改善など副次的なメリットもあります。

デメリット

急速拡大装置のデメリットは固定式によるリスクです。装置の取り外しができないのはメリットでもありますが、上記のリスクの項でも述べたとおり、清掃がしにくいため虫歯になりやすい、治療初期には違和感があり食事や発音がしにくい、鼻腔の拡大と同時に鼻が横に広がるリスクがあるなど、デメリットもあります。

個人差はありますが、急速拡大装置は顎骨に強い力を加えて矯正するため、痛みがやや出やすいのも欠点でしょう。

まとめ

急速拡大装置は、文字通り上顎の骨格と歯列の横幅を急速に拡大させる固定式の矯正装置です。従って、子どもの上顎の健全な成長発育をサポートしつつ、スピーディーに歯ならびと噛み合わせを改善させたい方におすすめできます。

また、鼻づまりや喘息、いびき、活舌、アレルギー性鼻炎など、上顎の拡大により期待できる副次的なメリットを期待する方にもおすすめです。

監修医師紹介

亀山愛子先生
  • 亀山愛子 医師
    http://www.kitakyushu-kyousei.jp/
  • 資格
    インビザライン(マウスピース矯正)認定ドクター
    インコグニート(舌側矯正)認定ドクター
    WINシステム(舌側矯正)認定ドクター

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません

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