[最終更新日]: 2024/11/14
子供の矯正で痛みはあるのでしょうか。どのくらい痛いの?痛みが起きるのはどんなとき?うちの子供は痛みに耐えられる?痛みを和らげるにはどうすればいいの?「矯正」=「痛い」というイメージもあり、矯正を検討されている親御さんの中には、痛みに対して心配されている方も多くいます。
痛みについては一概に「ある」「ない」とは言えませんが、主に矯正器具の装着や調整時に感じることが多く、痛みの感じ方は子どもによって異なります。
この記事では、痛みが出やすいタイミングとその理由、小児矯正の痛みの種類と程度、痛みを和らげるための工夫について紹介しています。
痛みが出やすいタイミングとその理由は?
子供の矯正で痛みが出やすいタイミングは、矯正器具の装着時と調整後、食事中・歯磨き中です。とくに矯正の初期段階で違和感や軽い痛みを感じることもあり、矯正装置によっても差が出ます。
痛みを強く感じる子供もいれば、「少し痛む」「特に問題ない」と感じる子供もおり、痛みの感じ方には個人差があります。
そのため、親御さんがあらかじめ対処法を把握しておくことで、過剰な心配もなくなり、子供も安心して治療ができます。
矯正器具装着時の痛み
子供の矯正で痛みが出やすいタイミングは矯正器具を装着した直後で、初めて器具を装着する人は、違和感や痛みを感じるのは自然なことです。
歯が動くと歯根膜(歯と歯槽骨を結びつける組織)に圧力がかかり、痛みが生じます。歯根膜には血管や神経が通っているため、圧力が加わることで炎症が起こり、痛みを感じる原因となります。
そのため、歯が動く矯正初期の段階では、痛みを強く感じることがあります。
この痛みは装着後数日間続きますが、時間の経過とともに和らぎ、器具に慣れるにつれて落ち着いていきます。また、装着時の痛みには個人差があり、歯の動きに敏感な場合や、矯正の度合い、装着する器具の種類によって痛みの感じ方は異なります。
例えば、圧力が直接歯に伝わりやすい金属ブラケットやワイヤーは痛みを強く感じることがあります。一方、比較的軽い力で歯を動かすマウスピース型の矯正器具は、痛みが少ない傾向にあります。
矯正器具が口腔内の粘膜に触れることで痛みが出ることもあります。特にブラケットが唇や頬の内側を擦ると口内炎ができやすく、痛みが長引くことがあるため、適切なケアが必要です。
痛みを軽減するためには?
器具に慣れるためには、柔らかい食べ物を選ぶことがおすすめです。お肉やおせんべいなどの固い食べ物は、装置が曲がったり痛みの原因になることがあります。ガムやキャラメルは装置に引っかかって破損する恐れがあるため、注意が必要です。痛みのある部分には透明なワックスを塗って保護すると、痛みが軽減されることがありますが、痛みが強い場合は痛み止めを使用することもあります。痛みが続いたり我慢できない場合は、必ず担当の歯科医師に相談してください。
矯正器具の装着による痛みは避けられませんが、装着後は歯科医師からのアドバイスを受けることが大切です。
調整後の痛み
痛みは治療の初期段階で強く感じられることが多いですが、時間の経過とともに軽減していきます。
調整後の痛みの原因は、矯正器具の歯に加える力が変わることによるものです。新たな力が加わると歯がその力に反応して移動をし、歯根膜や歯槽骨がその力に適応しようとすることで炎症が起こり、痛みが生じます。
個人差はありますが、調整後1日目から2日目にかけて痛みがピークになり、その後、数日以内に軽減していきます。
初期段階での痛みは、歯が新しい位置に移動するために必要なことです。矯正治療が進むと、歯や歯根膜は矯正器具の力に慣れてきますので、徐々に痛みも和らいできます。歯がすでに新しい位置に移動し、その位置で安定しはじめると痛みはさらに軽減されます。
しかし、矯正器具の調整は定期的におこなわれ、歯は微調整されるため、痛みが完全に消えるわけではありません。痛みが続く場合や強く感じる場合は早めに医師に相談しましょう。
痛みを軽減するためには?
柔らかい食べ物を選ぶと歯への負担が軽減され、痛みを和らげることができます。また、冷たい飲み物やアイスパックを使用すると、一時的に炎症が抑えられ、痛みが軽減します。治療が進むにつれて矯正器具にも慣れてくるため、調整後の痛みも徐々に和らいでいきます。
矯正後の痛みは歯が正しい位置に動くために必要なものであると理解し、もし痛みが続いたり、強い痛みがある場合は早めに歯科医師に相談してください。
痛みを最小限に抑えることができると、治療も負担に感じにくくなります。親御さんは子供の様子を見ながらしっかりサポートしていきましょう。
食事中・歯磨き中の痛み
食事や歯磨きのときにも痛みを強く感じることがあります。これは、矯正器具が歯や周囲の組織に与える影響が大きく、歯に直接負担がかかるためです。
特にお肉やおせんべいなどの硬い食べ物、ガムやキャラメルなどの粘着性のある食品を噛むと、矯正器具に加わる力が増し、歯や歯根膜に刺激が加わるため痛みが生じます。
矯正器具の装着中は、歯が動いているため、普段の噛む動作でも痛みや違和感を感じやすくなります。
歯磨き中には、歯や歯茎に直接刺激が加わるため痛みが感じることがあります。器具周りに汚れが溜まってしまうと、炎症が起きやすく痛みの原因になるので、丁寧な歯磨きを心がけるようにしましょう。矯正器具があることで普段のようにブラッシングができなくなり、その力加減も難しくなりますが、ブラッシング方法を工夫すると痛みは軽くなります。
食事や歯磨きを工夫することで、痛みを軽減することが可能です。痛みが軽減すると治療も続けやすくなるので、子供が食事や歯磨きを嫌がらないよう、親御さんのサポートが大切です。
食事中の痛みを軽減するためには?
食事中の痛みを軽減するためには、柔らかい食べ物を選びましょう。また、矯正中でも栄養面には十分配慮してください。
歯に負担をかけずに栄養を摂取できる食べ物には、スープ、ヨーグルト、豆腐、蒸し野菜などがあります。
バナナやアボカドは繊維質が少ないため消化もよく栄養価が高いため、体力の回復にも役立ちます。柔らかく調理された白身魚や蒸した鶏肉のようなタンパク質もおすすめです。
さらに食事の際は、食べ物をなるべく小さく切ることで、噛む力が分散され、痛みを減らすことができます。
食べる速さにも工夫してみましょう。いつもよりスピードを落として、無理に噛もうとしないようにすると、痛みを抑えることができます。
冷たい食べ物には、炎症を抑える作用もあるため、スープ、シチュー、ヨーグルト、プリン、豆腐などは冷たい状態で摂取するとさらに痛みが軽減されます。とくに矯正器具の調整直後などに試してみてください。
歯磨き中の痛みを軽減するためには?
歯磨き中の痛みを軽減するためには、柔らかい毛先の歯ブラシがおすすめです。ブラッシングするときは、歯ブラシを歯や器具に強く当てず、優しく円を描くように磨くと痛みが抑えられます。専用の矯正用歯ブラシやデンタルフロスも活用してみましょう。器具周りを清潔に保つと、痛みも感じにくくなります。痛みが強い場合は、洗口液を併用すると炎症も和らげる効果が期待できます。
矯正用歯ブラシは、さまざまなブランドや種類が販売されているので、特徴や価格を比べて購入してみましょう。ドラッグストアやオンラインショップで購入が可能です。
水や洗口液で口内をしっかりとすすぐことも大切です。食べかすや細菌の繁殖を防ぎ、痛みの予防になります。
歯磨き後に痛みがある場合は、その部分を冷やすと、炎症が抑えられて痛みを軽減することが可能です。
小児矯正の痛みの種類と程度について
小児矯正の痛みには「鈍い痛み」と「鋭い痛み」の2種類があります。痛みは調整後の1日目から2日目にピークを迎え、その後、少しずつ和らいでいきます。痛みは矯正器具を装着した直後や調整直後に強く感じることが多いです。痛みの持続時間は、治療の進行段階や個人の痛みの感じ方によって違います。それぞれについて詳しくみていきましょう。
鈍い痛み
矯正器具が歯に圧力を持続的にかけることで、鈍い痛みは起こります。矯正器具を装着した直後や調整後に鈍い痛みを感じやすいのは、歯が移動することで歯根膜や歯周組織に負担がかかるためです。
痛みは重くじわじわと続く感覚で、長く続くと気になることがありますが、日ごとに和らいでいき、歯や周囲の組織が圧力に慣れてくると痛みも軽減されます。
鈍い痛みは、歯が正しい位置に移動するために必要なことであり、矯正治療が前に進んでいる証拠です。
治療が進むと定期的に調整する頻度も少なくなるため、持続時間が短くなり、調整ごとに痛みは和らいでいきます。
痛みの感じ方は子供によって異なりますが、鈍い痛みは長く続いて、少しずつ軽減していく傾向があります。子供の様子をよく観察し、必要に応じて適切なケアをおこないましょう。
鋭い痛み
鋭い痛みは、矯正器具が口内の柔らかい組織に直接刺激を与えたり、歯に急激な力がかかると発生します。
例えば、ブラケットが唇や頬の内側に当たったり、ワイヤーが歯茎に触れたり、食事中や歯磨き中に硬いものを噛んだときなどです。食事中や歯磨き中に鋭い痛みを感じるのは、予期せぬ力が歯に加わるためです。
この痛みは一過性ですが、症状が強く現れることが多く、予告なしに突然現れるため、子供は驚きや恐怖を感じやすくなります。親御さんは子供の驚きや不安を散り除くためにそばで寄り添ってあげてください。
痛みが1週間以上続く場合や強まる場合には、何らかの問題が発生している可能性がありますので、歯科医師に相談しましょう。
これらの痛みを緩和するためには?
痛みを緩和するためには、親御さんが子供の訴えに耳を傾け、適切な対応をすることが大切です。
鋭い痛みがある際は、矯正器具が正しく装着されているか確認してください。歯科医師に相談してケースによっては器具の調整が必要となることもあります。
子供の矯正治療は長期にわたり、痛みも避けられないものです。痛みの種類と原因を理解し、適切に対応するよう心がけましょう。親御さんが冷静に対応することで、子供も安心して治療を続けることができます。痛みが長引く、予想以上に強いときは、歯科医師に相談して適切な処置を受けることが大切です。
痛みを和らげるための工夫
歯科医師が微細な調整
過剰な痛みや不快感があれば、歯科医師が調整をおこないます。その際、歯にかかる力が過度にならないように、患者の歯や口内の状態を見ながら矯正器具の微細な調整をおこないます。
調整をおこなうことにより、痛みの強さや持続時間を大幅に軽減できます。
矯正器具の種類や使用する素材の選択
矯正器具の種類や使用する素材によって、痛みの感じ方は異なります。金属製のワイヤーやブラケットは圧力が直接歯に伝わりやすいので、柔らかい素材を使用した矯正器具を選択することで、口内への刺激が減り、痛みを抑えることができます。ワイヤーの張力の調整でも、歯にかかる力を均等に分散させ、痛みを軽減することができます。
調整後の口内ケア
調整後、数日は特に痛みが強く感じられる期間です。冷たい飲み物やアイスパックを使用して痛みを抑えましょう。
普段使っている歯ブラシでは届きにくい部分が出てくるため、注意が必要です。
硬い歯ブラシは、矯正器具や歯茎に強め負担がかかり、痛みや炎症を引き起こす可能がるので、柔らかめの歯ブラシがおすすめです。
歯ブラシは、ブラシの毛先が歯と矯正器具の間にしっかりと届くように持ち、ブラッシングは、円を描くように動かして、器具の周りや歯と歯茎の境目は丁寧に磨きましょう。
歯と器具の間は食べ物のカスが詰まりやすいため、インターデンタルブラシやデンタルフロスを使用すると効果的です。
歯磨きとマウスウォッシュを組み合わせると、歯ブラシが届かない部分の汚れや細菌を洗い流し口内を清潔に保つことができます。
マウスウォッシュにアルコールが含まれていると、口内が乾燥しやすくなり、敏感な歯や歯茎には刺激が強すぎる可能性があるため、アルコールフリーのマウスウォッシュを選びましょう。
定期メンテ(check)
矯正中は定期的なメンテナンスで歯や器具の状態を確認し、必要に応じて調整をおこないます。
歯科医師による適切な管理で、痛みの原因を早期に発見し、対処することができます。
調整の頻度やタイミングは患者の状態に応じて調整され、無理なく進めることで痛みが軽減します。
痛みは適切な対処やケアで軽減できる
子供の矯正で痛みが出やすいタイミングは、矯正器具の装着時と調整後、食事中・歯磨き中です。
痛みには、「鈍い痛み」と「鋭い痛み」の2種類があり、鈍い痛みは1日目から2日目にかけてピークになり、その後、数日以内に軽減していきます。鋭い痛みは一過性ですが、症状が強く現れることが多いため、子供は恐怖を感じます。子供の様子をよく観察して寄り添ってあげてください。
痛みを和らげるには、食事は柔らかい食べ物を選ぶ、歯科医師の矯正器具の微細調整、調整後の歯磨きやマウスウォッシュによる口内ケア、矯正器具の種類や使用する素材の選択などがあります。
矯正による痛みは避けられませんが、適切な対処やケアで軽減することはできます。家庭でできることとクリニックで適切な調整やケアを受けることが大切です。