［最終更新日］: 2025/02/28

虫歯があっても矯正治療はできる？

こちらの記事では、矯正治療の開始前に虫歯が見つかった場合や、矯正治療中に虫歯が見つかった場合には、虫歯の治療はどうするのか、という疑問にお答えしています。さらに、虫歯をつくらないために押さえておきたいポイントについてまとめていますので、今後子供の矯正治療をしたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

まずは虫歯の治療から

矯正治療を始めようと考えているものの虫歯がある場合、まずは虫歯治療を行ってから矯正治療を行うことが基本です。もし、虫歯が大きく歯全体を被せ物にする場合、自費診療となるクラウンではなく、保険適用範囲で対応できる被せ物にしておくことがおすすめです。

その理由は、矯正治療前に装着する被せ物はあくまでも「矯正治療を行う前の歯並び」に合った形であり、その後矯正治療を行って歯並びを整えた時には、合わない形となってしまう可能性があるからです。また、虫歯になりやすい人は矯正中に虫歯にならないように注意することが大切です。

矯正治療中に虫歯になった場合

もし矯正治療を始めてから虫歯ができてしまった場合には、いったん矯正治療を中断し、虫歯の治療を行います。この時、矯正治療のために通っている歯科医院が虫歯治療に対応していなければ、かかりつけ医または紹介された一般歯科医院で虫歯の治療を行うことになります。

また、装着している装置の近くに虫歯ができてしまった場合には、虫歯の治療を行うために矯正装置を外すケースもあります。装置を一度外すと矯正治療の期間がその分長くなってしまいますので、できる限り虫歯をつくらないようにすることが大切です。

矯正治療中に虫歯になる原因

矯正中は虫歯になりやすい、といわれます。その原因として考えられる「矯正装置に汚れが付着するから」「唾液の作用が低下してしまうから」「歯磨きが大変だから」について紹介。また、虫歯になる原因として「アメやチョコ、キャラメルなどの甘い食べ物や歯・装置に付きやすい食べ物には注意する」という点についても解説していきます。

矯正装置に汚れが付着するから

矯正装置には凸凹があり、装着したまま食事をすると、食べかすや歯垢などがつきやすい状態となっています。さらに、矯正装置を着けていると歯磨きが難しくなるため、付着した汚れをしっかりと取ることが難しい状態です。

固定式の矯正装置の場合は自分で取り外しできないため、歯ブラシが届いていない部分は長い期間汚れがついたままとなってしまい、虫歯ができてしまうことがあります。

唾液の作用が低下してしまうから

唾液には、「自浄作用」と呼ばれる汚れを洗い流す役割があります。そのほかにも虫歯ができる原因である酸を薄める「ph緩衝作用」や、脱灰（エナメル質表面の成分が溶け出すこと）してしまった歯を元の状態に戻そうとする「再石灰化作用」、口腔内の細菌が増殖しないように働く「抗菌作用」といったように、口の健康を保つためのさまざまな役割を果たしています。

しかし矯正装置を装着している場合、唾液が歯の隅々まで行き渡りにくい状態となることから、上記の作用が十分に発揮されにくくなり、虫歯ができやすい状態になります。

歯磨きが大変だから

矯正治療は年単位の時間が必要となりますが、その期間は矯正装置を装着した状態で食事や間食をし、都度歯磨きを行います。装置をつけた状態での歯磨きは、装置がない場合よりも念入りに行う必要がありますので、毎日繰り返しているうちに歯磨きが大変に感じてしまい、手を抜いてしまうことがあるかもしれません。

虫歯ができてしまうと治療のために矯正装置を外す場合もあり、余計に時間がかかってしまうため、毎日しっかりと歯磨きを行うように心がけることが大切です。

アメやチョコ、キャラメルなどは要注意

矯正治療中は、食べ物にも気をつけてください。例えば、砂糖を多く含んでいるアメやチョコ、粘着性のあるキャラメルなどには注意が必要です。特にキャラメルは口に入れてから食べ終わるまで時間がかかる点に加えて、矯正装置に付着しやすいために、虫歯ができやすい状況につながりやすくなります。

どうしても甘いものを食べたいという場合には、キシリトールが配合されたお菓子を選ぶのもおすすめです。

矯正治療中の虫歯対策

矯正治療中は、虫歯にならないようにしっかりと対策していくことが大切です。そこでここでは、「食後の歯磨きを習慣化する」「フッ素を味方につける」という2つの方法について解説していきます。

食後の歯磨き習慣

食事をした後は、しっかりと歯を磨くことで虫歯の原因となるプラークを取り除きます。うがいでは食べかすしか取れないため、歯ブラシで磨いて歯の表面に付着しているプラークを取っていくことが大切です。特に、自分で取り外しができない固定式の矯正装置を使っている場合には、装置にも汚れが付着しやすいため食後の歯磨きを習慣にし、忘れないようにしてください。

もしうまく歯磨きができていないと感じるのであれば、歯科医院にて歯磨きの方法をレクチャーしてもらうのもおすすめです。

フッ素を味方につける

虫歯予防には、フッ素を利用するのも良い方法です。フッ素には、「歯質強化」「歯の再石灰化を促す」「細菌が酸を作らせにくくする」といったように、虫歯を予防する効果が期待できます。このように、フッ素を味方につけることによって虫歯を予防していくのもひとつの選択肢といえます。

日頃からのケアが大切

矯正治療を始めようとしたものの虫歯が見つかった場合には、まず虫歯の治療を行うため、その分矯正治療のスタートが遅くなります。また、矯正治療中に虫歯が見つかると、一度矯正装置を外さなければならないケースも出てきます。こちらの場合も、矯正治療完了までの期間が長くなることにつながってしまいます。

矯正治療を必要以上に長引かせないためにも、日頃から虫歯にならないようにケアを行っていくことが非常に大切です。そして矯正治療が始まってからは、より念入りにケアを行うようにしてください。定期的に歯科医院でのケアを受ける、歯磨きの仕方をしっかりと習っておくといったこともおすすめです。