[最終更新日]: 2021/03/02
リンガルアーチってこんな矯正方法
リンガルアーチは、反対咬合・隙間の保定・奥歯の固定に使われる矯正法となります。歯全体を動かすのではなく、一部の歯に対して力を加えたいときに利用されることが多くなっています。矯正装置といえば、マルチブラケットやマウスピースといった矯正法を想像する方が少なくありません。しかし、歯が完全に生え変わる前の小児矯正では、リンガルアーチのような一部だけを矯正する装置が使われるケースの方が比較的多いといえるでしょう。
改善が期待できる症状
リンガルアーチは、前歯の上下の噛み合わせが一部分逆になってしまっていたり、前歯の上下の噛み合わせが完全に反対になっていたりする反対咬合の改善が期待できます。また、乳歯から永久歯に入れ替わる前にリンガルアーチを入れると、歯が変な箇所生えてくるのを防げるほか、埋もれて生えてこないといった状態を緩和できるでしょう。
永久歯が生え揃う前の早い段階でリンガルアーチを使った治療に入ることで、これから生えてくる永久歯を正しい位置に誘導する効果が期待できます。子供の前歯が凹凸になっていて、永久歯が生えてくるときに妨げになりそうだと不安を感じているなら、リンガルアーチの対応可否も含めて早い段階で歯の状態を診てもらうのがおすすめです。
施術に適した年齢
リンガルアーチは小児矯正のⅠ期治療で使われるため、幼稚園から小学校の中学年にかけて利用されることが多いといえます。歯の生え変わりのスペースを空けるためにリンガルアーチが使われるので、歯が永久歯に変わり始める6歳頃から対応できる可能性があります。永久歯の生え変わりが順調であれば問題ないのですが、乳歯の時点で歯並びが悪くて永久歯が生えてくるスペースが十分ではない場合は、その時点で相談すると良いでしょう。
治療方法
リンガルアーチを反対咬合の治療のために入れるときは、前歯の裏側に装着しワイヤーで押し上げて上下の噛み合わせを変えていきます。また、乳歯が変な箇所から生えてきていて永久歯の生える場所が確保されていない場合は、リンガルアーチで対象箇所を押し広げて永久歯の生えてくる場所を確保できます。さらに、永久歯に生え変わる時期なのにもかかわらずスペースがなくて生えてこない場合は、リンガルアーチで生える場所をつくることが可能です。
治療期間
リンガルアーチなら生え変わるまでの期間だけ装着していればOKなので、治療が1~2年と比較的短期間で済むケースがあります。しかし、乳歯の歯列状態やあごのスペースによっては、全ての永久歯が生えてくるまでリンガルアーチをする必要があり、装着期間が4~5年に及ぶことも考えられます。しかし、リンガルアーチで歯の生え変わりをサポートしていけば状態次第では小児矯正のⅡ期治療が不要となり、永久歯に生え変わってから矯正治療するよりも短期間で済む可能性があります。
費用目安
リンガルアーチの費用の相場は、40~60万円前後となっています。大人になってから矯正治療を始めるときは、マルチブラケットで片あご30~60万円程度かかるということを考えると、決して高くはない金額だといえます。小児矯正のⅠ期に治療を行った場合、歯科医院によってはⅠ期にかかった金額の差額でⅡ期治療を受けられるので、Ⅱ期の治療に移行しても金銭面の負担を減らすことが可能です。
リスク
リンガルアーチの装着によるリスクは、不快感や話しにくいことが挙げられます。また、食事を取りにくく、小さな子供が装着する場合は慣れるまで時間がかかることも予想されます。装置は取り外しできないため、装着から3日程度は違和感で子どもが口を触ってしまう恐れがあるでしょう。リンガルアーチは細いワイヤーで出来ており、触ると歪んでしまって矯正が上手くできない恐れがあるので十分に気をつけたいところです。
また、固定式の脱着できない装置のため歯磨きが不十分になり、虫歯になる可能性が出てきます。虫歯にならないようにするには、子供にきちんとしたブラッシング指導をしたうえで、親が仕上げのブラッシングをして磨き残しを防ぐ必要があります。
口コミ

娘は矯正装置をすごく嫌がっていましたが、口を開けてもほとんど目立たないリンガルアーチでの治療でお願いできたので、どうにか納得してくれました。治療中の様子を娘に聞いてみると、痛みはほとんどないと答えてくれ、治療に通うのを嫌がっている感じでもありません。
https://caloo.jp/reviews/search/12105/b1221

永久歯が生えそろい始めてると場合によっては抜歯しないといけないらしい、と聞いてたので心配だったのですが、息子はまだ永久歯が生え始めたばかりなので何も問題ないと診断していただけました。
https://caloo.jp/reviews/search/12105/b1221
リンガルアーチのメリット・デメリット
メリット
リンガルアーチのメリットは、舌側に矯正装置を取り付けるので目立ちにくいということです。人目を気にせず治療を続けられ、精神的ストレスが比較的少ない治療法でしょう。また、自分でこそ取り外しはできませんが、簡単な装置なので時間がかからず脱着できます。子供が通院するということを考えると、診療時間が短い治療法だと負担がかからず続けやすいといえます。さらに、リンガルアーチは、経過が良いと小児Ⅱ期治療をしなくて済むので費用を抑えられるというメリットがあります。
デメリット
リンガルアーチのデメリットは、子供が装置を手で触ってしまい、装置がゆがむリスクがあるということが挙げられます。子供が口の中の違和感でイライラしたり、食べにくさから食事を中断してしまったりと、慣れるまで周りの大人も対応に追われてしまうかもしれません。治療前に考えうるデメリットを親子で共有し、一丸となって取り組んで子供の治療を後押しすることが大切です。
リンガルアーチはどういう人におすすめ?
リンガルアーチは、子供の歯が完全に入れ替わる前の矯正治療としておすすめです。スムーズな生え変わりをサポートすることで、歯並びが悪化するのを防ぐのに役立ちます。乳歯の状態で歯1本1本のスペースが十分に確保できていないのに、永久歯になったらスペースが空くということは通常考えられません。永久歯がキレイに生えてこない可能性があると分かった時点で、リンガルアーチを含めた矯正治療補を相談してみることをおすすめします。